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AGA(エージーエー/男性型脱毛症)

AGA(エージーエー/男性型脱毛症)とは思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなり、進行していきます。(図4)

一般的に遺伝や男性ホルモンなどが原因と考えられ、抜け毛が進行し、薄毛が目立つようになります。AGA(エージーエー/男性型脱毛症)の人は全国で1,260万人ともいわれています。

  • 図4:AGA(エージーエー/男性型脱毛症)の経過

Kaufman K D et al. Eur J Dermatol 2002; 12(1): 38-49より作図

薄毛に対する意識調査

2003年6月に全国に住む20歳から69歳の男性8,100人を対象に、毛髪についての意識調査が行われ、6,509人から有効回答を得ました。
抜け毛・薄毛を認識している男性の割合は年齢とともに上昇し、抜け毛・薄毛だと認識している人のうち、将来の状態を懸念している人の割合は若い世代ほど高いことが示されました。(図5,6)
この調査結果と日本の将来推計人口から、日本では薄毛を認識している男性は1,260万人、薄毛を気にしている男性は約800万人、育毛剤など薄毛への対処をしたことがある男性は650万人、現在、薄毛に対して何らかの対処をしている男性は500万人であると推定されます。
板見 智: 日本醫事新報 2004; No.4209: 27-29.

図5:抜け毛・薄毛を認識している割合(年代別)

(日本能率協会総合研究所「J-FAXリサーチシステム」使用)

図6:毛髪の状態への懸念(年代別)



(日本能率協会総合研究所「J-FAXリサーチシステム」使用)

疫学

日本人男性(15~96歳、1,726人)を対象に、毛髪の型を分類しHamilton分類のⅡ型からⅦ型までをAGA(エージーエー/男性型脱毛症)とした場合、全体の32%にAGA(エージーエー/男性型脱毛症)がみられました。(図7)
図7:AGA(エージーエー/男性型脱毛症)の年齢別発症率

Takashima T et al. In: Orfanos CE et al, eds. Hair Research. Springer,
Berlin Heidelberg New York: 1981: 287-293より作図

進行パター

AGA(エージーエー/男性型脱毛症)の特徴は、その脱毛の進行パターンにあります。額の生え際から後退していくタイプ、頭頂部から薄くなるタイプ、これらの混合タイプなどさまざまな脱毛の進行パターンがあります。(図8)
図8:AGA(エージーエー/男性型脱毛症)の進行パターン

Norwood O T. South Med J 1975; 68(11): 1359-1365より作図

起こるしくみ

AGA(エージーエー/男性型脱毛症)の主な原因物質はDHT(ジヒドロテストステロン)*です。AGA(エージーエー/男性型脱毛症)では、脱毛部分の頭皮に多量のDHTが確認されています。DHTは5α-還元酵素によってテストステロンから作られ、このDHTが毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体と結合すると、脱毛シグナルが出され、成長期が終了してしまいます。そのため毛髪が長く太い毛に成長する前に抜けてしまいます。十分に育たない細く短い毛髪が多くなることで、全体として薄毛が目立つようになります。
*DHT(ジヒドロテストステロン):DHTの働きは胎児期と思春期以降で異なります。胎児期には男性胎児の外性器の正常な分化という重要な役割を果たしますが、思春期以降には、男性型脱毛、前立腺肥大、ニキビなど好ましくない症状を引き起こします。
図9:AGA(エージーエー/男性型脱毛症)が起こるしくみ